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会社の飲み会。結婚と子どもの話でひとしきり盛り上がったあと、話題がこちらに向く瞬間があります。

「え、まだ独身なん?」「彼女いないの?」

悪気は、まったくありません。心配してくれている人もいるし、場を回そうとしてくれている人もいる。それが分かるから、笑って返すしかありませんでした。

「いやー、そのうちです(笑)」

① 動いていなかったわけじゃない

当時の数字を出します。マッチングアプリに月3,000円ほどを払って、続けたのは約5ヶ月。マッチングしたのは25人で、実際に会えたのは6人でした。そのあと入った結婚相談所では、お見合いが8人。

それだけ動いていて、飲み会では「出会いがなくて」と言っていたんです。

本当のことを言えなかっただけでした。動いていないから言えないんじゃなくて、動いているのに結果が出ていないから言えなかったんです。

② いちばんこたえたのは「結婚する気ないだけでしょ」だった

言われた言葉は、いろいろあります。

「彼女いないの?」「なんで結婚してないの?」「お前ならすぐ結婚できそうなのに。」「選びすぎなんじゃない?」「紹介しようか?」「マッチングアプリやってみたら?」

どれもきついといえばきつい。でも、いちばんこたえた一言は別にありました。

「結婚する気ないだけでしょ。」

言われた瞬間、心の中で何度も「違うんだよ」と思いました。

結婚したくないんじゃない。本当はすごく結婚したい。でも、うまくいかない。

この違いを説明しようとすると、①で書いた数字を全部出すことになります。25人とマッチして、6人に会って、それでも続かなかった、という話を。飲み会の席で、笑いながらする内容ではありません。

だから結局、「いやいや(笑)」で終わらせていました。

婚活をしたことがない人から見ると、「やろうと思えばすぐできる」ように映るんだと思います。実際には、会っても断られることがあるし、こちらから断ることもある。その積み重ねで、自信は少しずつ削れていきます。

あなた

「結婚する気ないんでしょ」って言われると、否定するのも変な感じがして。

ハル

強く否定すると、それはそれで焦って見える気がして。僕も言えませんでした。

③ 男は、弱音を吐くより笑いに変えてしまう

言われ方には、もうひとつ特徴がありました。

職場では「早く結婚しろよ(笑)」。友人からは「また今年も一人か(笑)」「お前、理想高いんちゃう?」

全部、笑いながらです。悪意はありません。いま振り返っても、そう思います。

でも、笑いながら言われると、怒ることもできないんですよね。こちらも笑って返すしかない。心の中で「俺だって好きで独身なわけじゃない」と思いながら。

男は、弱音を吐くより笑いに変えてしまう人が多いと思います。だから周りも、こっちが傷ついていることに気付かない。

自分で笑いに変えている以上、相手が気付かないのは当たり前でした。

あなた

笑って流すのは、もう慣れました。

ハル

慣れますよね。僕も、返す言葉がだいたい決まっていました。

④ 黙っているあいだに、減っていったもの

言わない、という選択には理由がありました。

「婚活してる」と口にした瞬間に、「そんなに焦ってるの?」とか「まだ結果が出てないんだ」と思われる気がしたんです。正直に言えば、恥ずかしかった。

ただ、これは引き換えでした。

黙っているあいだ、僕は一人で同じことを続けていました。プロフィールを書き直して、写真を撮り直して、メッセージの送り方を工夫する。ひと通りやって、変わらなくて、また最初に戻る。

減っていったのは、時間です。その繰り返しに、何年かを使いました。

⑤ 一番きつい言葉を言っていたのは、自分だった

30歳を過ぎたあたりから、言われる回数が増えました。20代のころは笑って流せた「まだ?」が、急に重くなる。

ただ、あとから考えると、いちばんきつい言葉を投げていたのは周りではありませんでした。

「いい歳して彼女もいない。」

そう言っていたのは、自分です。飲み会の一言が刺さるのは、すでに自分が同じことを自分に言っているからでした。

⑥ 話す相手は「結果だけで判断しない人」で選んだ

では、誰になら話せたのか。

役職ではありませんでした。上司だから話さない、後輩だから話す、という分け方でもない。基準はひとつだけです。

その人が、結果だけで判断するタイプかどうか。

「まだ結婚してないの?」と軽く言うタイプの人には、話しませんでした。逆に、自分も婚活をしたことがある人、相談所で結婚した人、離婚を経験した人、人の話を否定せずに聞く人。こういう相手には、自然と話せたんです。

共通していたのは、「分かるよ」と言ってくれることでした。解決策ではなく、その一言。

婚活には、アドバイスより共感のほうがありがたい時期があります。

⑦ 一人に打ち明けてから、何が変わったか

結局、打ち明けたのは一人だけでした。信頼していた先輩に、「実は結婚相談所にも入ってます」と。

それから、会うたびに聞かれるようになりました。「最近どう?」「いい人いた?」「順調?」

正直、最初はプレッシャーでした。断られた直後なんて、いちばん話したくない相手になります。

それでも、変わりました。

「今回は縁がなかっただけ。」「次があるよ。」

そう言ってもらえるだけで、一人でやっていた頃よりずっと楽になったんです。一人でやっているかぎり、この苦しさは軽くならない。あのとき初めてそう気付きました。

いま当時の自分に一つだけ変えさせるなら、もっと早く人に頼ることです。「男なんだから一人で何とかしないと」と思っていました。でも、その考えのまま同じ場所を回り続けたのは、僕自身です。

相談所に入ってから、「その考え方だと女性にはこう伝わっていますよ」「そこを少し変えてみましょう」と言われました。自分では気付けなかった部分でした。

アプリが悪いわけではありません。相談所が万能なわけでもありません。ただ、一人で何年も同じ場所をぐるぐる回っているなら、誰かの力を借りることは遠回りではありませんでした。僕にとっては、それが結婚への一番の近道でした。

飲み会の席で切り出すより、こちらのほうがずっと話しやすいと思います。

よくある質問

職場では言わないほうがいいですか。

相手によります。全員に言う必要はありませんし、全員に隠す必要もありません。僕は⑥の基準——結果だけで判断するタイプかどうか——で見ていました。

笑ってごまかすのは、逃げでしょうか。

その場の返し方としては、それで足ります。僕がそうやって流していたあいだ、①の数字は誰にも言わないままでした。

「紹介しようか?」と言われたら、どうすればいいですか。

受けるかどうかは、そのとき決めれば大丈夫です。その場で答えを出さなくても、話は流れます。

実家に帰ったときに同じことを聞かれる、あの感じはまた別ものでした。帰省のたびに同じ質問が来る側の話

周りに何を言われるかより先に、自分で線を引いてしまっているなら。同じことを、恋愛の入り口でもやっていた話