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アラームを止めるより先に、アプリを開いていました。朝六時五十分のことです。

通知が来ている日は、少しうれしい。ほとんどの日は「新しいお知らせはありません。」の表示を見るだけで、スマホを胸の上に置いたまま、しばらく起き上がれませんでした。

マッチングアプリはやめとけ、とよく言われます。検索すれば理由がいくらでも出てきますし、たぶん、言っている人はだいたい正しいです。

ただ、僕の記憶に残っているのは、そこに書いてある理由とは少し違うところでした。

① 「やめとけ」と言われる理由は、だいたい合っている

やめとけの中身は、もう出尽くしています。返事が来ない、続かない、会えない。業者みたいな人がいる。お金がかかる。どれも本当のことなので、ここで並べ直すつもりはありません。

代わりに、当時の僕の一日の数字を出します。

  • 送ったいいね 二十から三十
  • メッセージのやり取りが始まる 五人から八人
  • 返信が返ってくる 二人から三人
  • 会話が続く 一人

上から下まで、一日ぶんです。二十から三十動かして、最後まで残るのは一人。

この歩留まりを見て「効率が悪い」と思うなら、やめとけという評価は妥当です。数字の上では、そのとおりなので。

② 気になっていたのは、数字よりも一日のほうだった

ただ、当時の僕がそこを気に病んでいたかというと、そうでもありませんでした。

気になっていたのは、一日のほうがアプリの形に合わせて変わっていったことです。

朝は、さっき書いたとおりです。目が覚めた瞬間に手を伸ばす先が、アプリになっていました。

昼は十二時半ごろ。会社の近くのコンビニで買ったおにぎりを食べながら、返信が来ているかを確かめます。既読だけの日は「何か変なこと送ったかな」と思って、午後もそのことを考えていました。婚活は、仕事中でも頭から離れません。

夜は十時半。風呂を出て布団に入ると、部屋は真っ暗で、スマホだけが顔を照らしています。横向きになって、指だけがずっと動く。プロフィールを見る。閉じる。また開く。

そして寝る前に、通知設定を確認します。夜中に返信が来るかもしれない。そう思って、スマホを枕元に置いて寝ていました。

あなた

それ、まさに今の僕の一日です。

ハル

自分では気づかないんですよね。僕も「今日はここまで」と思って閉じてはいたんです。ただ、五分後にはまた開いていました。

③ お礼の文面に時間をかけて、既読が付いただけで安心していた

会ったあとのお礼のメッセージに、三十分かけていたことがあります。書いては消して、また書いて。相手に送るまでの間、他のことは何もしていません。

送ったあとは、既読が付くのを待ちます。返事ではなく、既読です。既読が付いただけで、少し安心していました。中身はまだ何も分かっていないのに。

返信が来なくなった日は、過去のトーク履歴を読み返していました。うまくいっていたころの会話を、上から何回も読み返します。

このころ、口から出た言葉があります。

「俺、このまま結婚できるのかな。」

このとき頭にあったのは、相手のことだけではありませんでした。休日の予定は婚活で、友達は家族旅行に行っていて、SNSには子どもの写真が流れてくる。自分のところだけ、何も進んでいない感じがしていました。

④ 減っていたのはお金じゃなくて、時間のほうだった

費用の話をしておくと、僕がアプリに払っていたのは月に三千円台です。飲み会を一回減らせば出る金額ですし、これを高いと思ったことはありません。

減っていたのは、そっちではありませんでした。

夜だけで一時間です。プロフィールを開いては閉じているうちに、それくらい経っていました。朝と昼にも同じことをしているので、一日ぶんとなると、もう数えていません。

やめとけと言われて「でも他に方法がないし」と答えるとき、たいてい天秤に載っているのはお金と出会いです。時間のほうは、載っていません。払っているのに気づいていないので、比べようがないんです。

これは、続けるなという話ではありません。載せていないものが一つある、というだけの話です。

返事が来ない時期そのものを扱ったのが、こちらです。返事が来ない・続かないが重なっていたころの話

⑤ やめる前に、自分の一日を数える

やめるかどうかの決め方として、僕がすすめたい順番があります。アプリの中身を見るのを先にせず、自分の一日のほうを先に見る、という順番です。

見るのは三つだけ。どれも今日からできます。

一つ目、開いた回数を一日だけ数える。何回開いたかを、その日だけメモします。多いか少ないかは判断しなくていいです。数だけ出します。

二つ目、通知を切って、開く時間を自分で決める。一日一回でも二回でもかまいません。大事なのは回数ではなく、向こうが鳴らしたときではなく自分が決めた時間に開くようにすることです。

三つ目、返信にかけている時間を測る。測るのは、一通に何分かけているかです。三十分かけていた僕のような人は、たぶんここでいちばん驚きます。

この三つをやると、続けるかやめるかとは別に、自分がこのアプリに何を渡しているかが数字で出ます。当時これをやっていれば、僕はもっと早く手を打てたはずです。

⑥ それでも変わらないなら、手は三つある

数えてみて、それでも一日が戻らないなら、選べる道は三つです。

一つ目は、やめる。いったん消して、しばらく離れる。消したところで、戻ってこられなくなるわけではありません。空いた時間のぶんは、確実に手元に残ります。

二つ目は、そのまま続ける。数字を分かったうえで続けるなら、それも判断です。

アプリと相談所で、お金と手間がどれだけ違ったかを並べたのが、両方に払った費用と、かかった手間の差です。

三つ目が、一人で回すのをやめるという道です。

あなた

三つ目に行く前に、二つ目で粘ったほうがいい気もします。

ハル

粘るのは全然ありだと思います。ただ、粘るなら「あと三ヶ月」みたいに終わりを決めておいたほうがいいです。僕は決めていなかったので、同じ一日がそのまま続きました。

僕が最終的に選んだのは三つ目でした。自分で探して、自分で送って、返事が来ない理由も自分で考える。この一周を全部一人でやっていたから、一日が埋まっていたわけです。

結婚相談所を使って変わったのは、そこに他人の目が入ったことでした。第三者から客観的なアドバイスをもらって、自分では気づけなかった改善点に、そこで初めて気づいています。ずっと一人で考えていたことなので、自力ではそこまで届きませんでした。

まとめ

「マッチングアプリはやめとけ」と言われる理由は、だいたい当たっています。一日に二十から三十動かして、会話が続くのは一人。数字だけ見れば、そう言われても仕方ありません。

ただ、当時の僕が気にしていたのは、その数字のほうではありませんでした。朝も昼も夜も、寝る前まで、一日がアプリの形になっていたことのほうです。

やめるかどうかを決める前に、まず自分の一日を数えてみてください。そのうえで、やめる・続ける・一人で回すのをやめる、の三つから選べば十分です。

  • やめとけの理由は事実。ただし語られているのは結果の話だけ
  • 一日にいいね二十〜三十、会話が続くのは一人
  • 出ていくのはお金より、朝と昼と夜に少しずつ取られる時間のほう
  • 決める前に〔開いた回数〕〔開く時間〕〔返信にかけた時間〕の三つを数える

よくある質問

やめとけと言われても、他に出会いの方法がないのですが。

僕もそう思っていました。ただ実際にやめたわけではなく、続ける場所のほうを変えています。アプリを消すことと、婚活をやめることは、同じではありません。方法を一つしか知らない状態だと、やめる=終わりに見えてしまうだけです。

アプリを消したら、また一から始めることになりませんか。

やり取りの履歴は消えます。ただ、続いていた相手が一人もいない状態なら、失うものは実質ありません。逆に、いま続いている人がいるなら、消す必要はないです。この判断も、⑤で数えた「会話が続いた人数」で決められます。

結婚相談所は敷居が高い気がします。

僕も入る前は同じように構えていました。ただ、入ってから効いたのは覚悟ではなく、第三者の目のほうです。一人で見ていたときには出てこなかった指摘を、そこで初めてもらっています。敷居が高いかどうかより、一人で考え続けるのをやめられるかどうかのほうが、僕には大きかったです。

お金をかけずに続ける方法はありませんか。

無料のままでも使えますが、男性の場合はメッセージのやり取りで課金が必要になることが多いです。僕は月に三千円台を払っていました。ただ、この記事で書いたとおり、実際に減っているのはお金より時間のほうなので、無料かどうかだけで判断するとかえって長引きます。