友人の結婚式がつらい30代独身男へ。祝福と「で、俺は」の帰り道の話
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友人の結婚式は、いい式でした。それは本当です。
スピーチで少し泣いたし、心から祝福した。なのに帰りの電車で一人になった瞬間、鞄の中の空になった祝儀袋がやけに軽くて、急に静かな気持ちになりました。「いい式だったな」と「で、俺は」が、交互に来る。窓に映るスーツ姿の自分。あの帰り道が、僕はいちばん苦手でした。
この記事は、結婚式の断り方やご祝儀のマナーの話ではありません。友人の結婚式のたびに、祝福と寂しさの間で静かに削られていた、30代独身の頃の話です。
① 祝福してるのに、つらい。これは薄情じゃない
まず、これだけは最初に言わせてください。友人の幸せを喜ぶ気持ちと、自分の現在地がつらい気持ちは、同時に存在します。矛盾じゃありません。
当時の僕は、式の後にいつも自分を責めていました。「心から祝いきれない自分は、心が狭いんじゃないか」と。でも、祝福は本物でした。寂しさも本物でした。片方が本物だからといって、もう片方が嘘になるわけじゃない。この2つを混ぜて自分を責めるのが、いちばん消耗するパターンでした。
式の間はちゃんと感動してるんです。なのに帰り道で急にきつくなる。この落差、何なんでしょうね。
式は「みんなの時間」で、帰り道は「自分の時間」だからだと思います。会場では友人の人生を見ていて、電車に乗った瞬間、自分の人生に戻るんですよね。
② 「自分だけ独身」のテーブル
30代も半ばになると、円卓の顔ぶれが変わってきます。
隣は子供の写真を見せ合っていて、向かいは家のローンと学区の話をしている。話を振られれば笑って返すけれど、どの話題にも「参加」はできない。誰も悪くないんです。悪意なんて一つもない。ただ、「自分だけ独身」という事実が、あのテーブルでは制服みたいに目立って見える。
二次会の「次はお前だな」も、励ましだと分かっています。分かっていて、笑顔の在庫はもう切れかけている。
「次はお前だな」に返す「いやいや〜」の言い方だけ、年々うまくなっていくんですよね。あれ、地味に消耗します。
③ 「行きたくない」と思ってもいい
招待状が届いた瞬間、嬉しさより先に「あ、しんどいな」が来る。そして、そう感じた自分にまた凹む。でも、行きたくないと思うこと自体は、友情の否定ではありません。
僕は基本的には出席していました。「行くべきだから」ではなく、後から「行けばよかった」と後悔する自分が想像できたからです。ただ、心が本当に限界だった時期に、一度だけ欠席したこともあります。そのときの判断基準は一つだけでした。「この式に、心から祝える状態で座っていられるか」。無理して座って暗い顔を見せるほうが、よほど失礼だと思ったからです。
行くか行かないかより大事なのは、どちらを選んでも自分を責めないことでした。
④ みじめさの正体は、式が「進捗発表会」に見えるスイッチ
結婚式が特別つらいのは、あれが人生の「進捗発表会」に見えてしまうからだと思います。
本当はただの、二人の門出の日です。でも独身側のスイッチが入っていると、友人代表のスピーチも、両親への手紙も、全部「あいつはここまで進んだ」という報告に聞こえてくる。比較のスイッチです。式がつらいんじゃなくて、式を「自分の査定」として見てしまう状態がつらい。当時は、そこの区別がついていませんでした。
分かってても、そのスイッチって勝手に入りませんか?
入ります。だから僕は、切ろうと頑張るのをやめて、「あ、今日はスイッチ入ってるな」って心の中で実況するだけにしてました。それだけで、少しだけ他人事にできるんです。
⑤ 帰り道の寂しさは、燃料にもなった
あの帰り道の静けさと、普段の夜の部屋の孤独は、地続きでした。式の日だけ特別につらいんじゃなくて、普段の夜にうっすらあるものが、式をきっかけに濃く出てくるだけなんですよね。
夜の孤独そのものの話は、別の記事に分けて書いています。
→ 30代独身、夜になると涙が出る。孤独がつらい男は自分だけじゃなかった話
僕の場合、何度目かの帰り道で「この寂しさを、あと何回やるんだろう」と思ったのが、動き出すきっかけの一つになりました。焦って動いたというより、寂しさを見て見ぬふりするのを、やめただけです。マリッシュを選んだのは、同じように遠回りしてきた人が多くて、身の丈のまま始められそうだったからでした。
次の友人の式を、少し違う気持ちで座れる日は、たぶん作れます。
⑥ 次の招待状が来たあなたへ
祝福と寂しさは、両立する。テーブルの居心地の悪さは、あなたのせいじゃない。行っても、行かなくても、自分を責めない。持って帰るのは、この3つだけで充分です。
帰宅後の部屋の静けさ、生活の中の寂しさの話はこちらに。
→ 独身が寂しいんじゃない、この生活の景色が寂しいだけだった
寂しさの先に「このまま結婚できないんじゃないか」という不安まで来ているなら、こちらも。
→ 「結婚できる気がしない」と思う30代男へ
祝儀袋の空の軽さを知っているのは、ちゃんと祝いに行ったあなただけです。その優しさは、いつかあなたの側の景色も変えてくれます。
Q. 友人の結婚式に行きたくないと思うのは薄情ですか?
薄情ではありません。祝福の気持ちと、自分の現在地がつらい気持ちは同時に存在するもので、矛盾しません。同じ悩みは知恵袋などにも多く投稿されており、独身の30代には珍しくない感情です。
Q. 独身で結婚式がみじめに感じるのはなぜですか?
式が人生の「進捗発表会」に見える比較のスイッチが入るためです。式そのものより、式を自分の査定として見てしまう心の状態がつらさの正体で、スイッチに気づくだけでも負荷は下がります。
Q. つらいときは欠席してもいいのでしょうか?
心から祝える状態で座っていられないほど限界なら、無理をしない選択もあります。大事なのは、出席・欠席のどちらを選んでも自分を責めないことです。
式の帰り道と同じ重さは、実家の居間にも置いてある。

